2008年02月17日

田んぼ。


犬の散歩でいつもの田んぼのところへ・・・・・
重機が入っている。
田んぼにはいく筋ものキャタピラーの跡が。

とうとうここも分譲に?

去年の夏の日のこと・・・・・

梅雨の晴れ間の夕暮れ娘たちと散歩。

「パパ―――ッ、オタマジャクシ、足が生えてる!」

玲は畦に膝を折って水田に顔をくっつけるようにして大声で叫んだ。

「パパ――――ッ、カブトエビ、カブトエビ――――ッ、カブトエビッ!」

「カブトエビって何だ?」

「パパったら・・・・・カブトエビ知らないの!?
生きてる化石だよ。生きてるっ!」

「おいっ、そんな大そうなモンがこんな所にいるのかぁ?」

そう言って僕が玲の背中越しに“田んぼ”を覗き込むと・・・・・・

「ほら、ほら・・・・・これこれっ、これがカブトエビ・・・・・」

そう言うと玲は、ヒョイッと“それ”を手で掬い上げると僕に見せた。

なんと、本当にあの海にいる・・・・・
いや、古代生物図鑑で見るようなカブトガニ・・・・・が・・・・・
大きさは3センチくらいだろうか、それが玲の手のひらでバタバタしているではないか。

「おいっ・・・・・気味悪いなぁ・・・・それ・・・・・」

「何いってんのパパ・・・・・生きてる化石だよっ・・・・・これっ」

学校でも飼っているのだと言う。

「でも・・・・・これ、田んぼの水から出しちゃうとすぐに死んじゃうんだ・・・・・
教室のは、水槽に稲を植えて田んぼと同じ泥水を入れて・・・・・・
それでも、2、3日で死んじゃうんだ・・・・・」

「それって・・・・・“ここ”でも・・・・・2、3日の寿命じゃあねぇのか?」

「かもしれないね・・・・・・一生がたったの2日なんだね・・・・・」

そう言うと玲は“ポイッ”とそれを田んぼに還した。

ポッチャッと田んぼに還ったカブトエビは見る間に泥の中に消えた・・・・・・

“カブトエビ”

僕には覚えがない・・・・・外来種だろうか・・・・・
そう言えば、ここ2、3年・・・・・娘たちとここへ来たこともなかった。
“外来種”は僕なのかも知れない・・・・・

腰をあげて周りを見ると・・・・・
僅かに残された田んぼの周りには子どもたちが思い思いに網を持ったり、
ポリバケツを抱えながらオタマジャクシやらゲンゴロウやら・・・・・
アメンボウを追っかけては嬌声を上げていた。

なんにも変わってはいない・・・・・・
なんにも変わってはいない季節がそこにはあった。

そこに遊ぶ子どもたちはまるであの頃の僕のように・・・・・・
泥だらけになって、無我夢中になって遊んでいる。

なんにも変わっていない・・・・・
なんにも変わっていない時間がそこにはあった。

そして・・・・・
絶対に変えてはいけない“季節”がそこにはあった。

そして昨日、

そこには「分譲住宅メーカー」の看板。

今年の“その”季節には・・・・・・・
オタマジャクシも、カブトガニも、ゲンゴロウも、アメンボうも、もう二度と見つけることはない。

そして、子どもたちの喚声も・・・・・・・


  


Posted by 昭和24歳  at 19:18Comments(3)

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